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「最賃」議論スタート

7月11日
読了時間: 4分

大幅引き上げ続くかが焦点

厚生労働省は6月26日、中央最低賃金審議会に「地域別最低賃金額改定の目安」を諮問した。これを受けて、同審議会による2026年度の最低賃金の見直しの議論が始まった。最低賃金は5年連続で過去最大の引き上げが続いているが、物価高騰に加え、中東情勢の影響なども懸念されるなか、今年度の議論の行方が注目される。

最低賃金は5年連続で過去最大の引き上げが続き、2025年度の全国加重平均は前年度から66円増の1121円となり、地域別最低賃金はすべての都道府県で初めて1千円を超えた。

26日に始まった審議会では、上野賢一郎厚生労働相が諮問文を審議会の藤村博之会長に手渡した。

上野厚労相は「春闘で高水準の賃上げが続いている。この流れを地方や中小企業、それに非正規雇用の人たちにも波及させるには最低賃金による底上げが必要だ。物価の動向、賃金の状況、企業の業況など、最低賃金法に定める3要素のデータに基づき、地域間格差是正などにも配慮した真摯な議論を」と求めた。

審議会は同日、目安に関する小委員会を立ち上げ、審議を開始。今後議論を重ね、早ければ7月下旬にも引き上げ額の目安を示す。その額を参考に地方最賃審議会で議論が行われ、10月初旬にも各都道府県の新たな最賃額が決まり、順次発効される。

政府は「骨太の方針」で最低賃金について「2020年代の全国平均時給1500円への引き上げ」を目標に掲げていたが、この目標の達成時期を先送りする方向で調整を進めている。26年度の最賃は、継続する物価高騰に加え、中東情勢による経済不安も懸念されるなか、前年度のような大幅な引き上げが続くかが焦点となる。

近隣比較の決定「不適切」

諮問に先立つ6月23日、中央審議会は最低賃金の審議に関する考え方を示した。昨年度の地方審議会で目安を大きく上回る引き上げや発効日の後ろ倒しが相次いだことを受け、計3回の全員協議会を開いて取りまとめた。

最低賃金額の決め方については「近隣県などとの金額の比較や最下位を避けたいという動機から、地域の実態と乖離した引き上げ額を導き出すことは適切でない」と指摘。法定3要素(労働者の生計費、賃金動向、企業の支払い能力)のデータを考慮して決めるよう地方審議会に求めた。

目安額に大幅な上乗せをする場合は「その判断理由を公益委員見解などで明らかにすべきだ」とした。

発効日については、「大幅な引き上げ額を確保するための過度な交渉材料とするべきではない」と指摘。支払いのための準備期間を理由に「指定日発効」とする場合については、賃金原資の確保や給与規定の見直しに必要な具体的期間を地方審議会の公労使委員で十分に議論し、判断理由を明らかにするよう求めた。

改定された最低賃金の発効日は法律で「公示の日から起算して30日を経過した日、30日経過後で別に定める日があるときはその日」とされている。このため発効日は例年10月中だったが、昨年度は10月〜3月とばらつきがあり、27府県で11月以降となった。

中央審議会は、目安額を示すための経済実態に応じたランク分け(A=6都府県、B=28道府県、C=13県)についても見直しを検討している。

「年明け発効」6県の企業 メリットとデメリット

昨年度の最低賃金の発効が年明けの1〜3月となった6県(秋田、福島、群馬、徳島、熊本、大分)の中小企業に、各県労働局はヒアリングを行った。最低賃金引き上げの影響が大きい「ほかに分類されないサービス業(警備業を含む)」など6業種を対象とした。

ヒアリングは1県当たり30〜50社。発効日の後ろ倒しに伴い、賃上げ時期を例年より遅らせた企業からはメリットについて、「人件費を抑制できた」「価格転嫁や契約見直しの準備期間を確保できた」「パート労働者の就業調整を避けられた」などの声が聞かれた。

デメリットについては「会社としては助かるが、従業員からは不満が出る」「複数県で事業展開しているため、県によって発効日が異なると賃上げのタイミングが何度もあり、担当部署にとって負担」といった声が寄せられた。

一方、最低賃金に近い賃金で働く6県の労働者約1400人に、発効日が遅れたことの影響を尋ねたところ、「特に影響はなかった」65.7%、「影響があった」34.3%。影響に関する具体的回答では「仕事に対するモチベーションが下がった」が最も多く、次いで「家計に悪影響が生じた」だった。

「20年代1500円」政府目標を先延ばし

政府の「日本成長戦略会議」は、6月30日に開いた第6回会合で「日本成長戦略」の原案を明らかにした。

原案では官民の投資を促進する「AI・半導体」「デジタル・サイバーセキュリティー」など17の戦略分野を示すとともに、最低賃金についても言及した。

具体的には、2025年の「骨太の方針」で政府が示した目標「20年代に全国平均で1500円達成」について、「官・民でたゆまぬ努力を継続、労働生産性向上を図ることで“遅くとも30年代前半できる限り早期”に全国平均1500円を達成する」と明記、目標達成を先延ばしした。

最賃決定プロセスについては、企業の支払い能力など「法定3要素」に基づき、公労使三者構成の中央最低賃金審議会と地方の同審議会での審議決定を支持。最高額に対する最低額の比率引き上げなど地域間格差の是正も求めた。

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2026年7月11日号

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