特別講習
「送り出し教育」の充実を
新年度を迎えて都道府県警備業協会では、特別講習が活発に実施されている。警備員のスキルを高める特別講習は、業界発展の根幹を成す教育制度だ。警備会社にとって国家資格の取得者がさらに増えることは“目に見えるかたちのレベルアップ”となるものだ。
2号警備を手掛ける企業は資格者配置路線で業務を行う上で検定合格警備員の育成が欠かせない。4月から特別講習の交通誘導警備業務2級では、実技試験の方法が次の3科目で変更された。(1)大旗を使用した基本の合図(2)素手による工事車両の後進誘導要領(3)事故現場における二次災害防止要領。(2)と(3)では、実際の車両を使用しない方法に変わった。これにより屋内での実施も可能になり、熱中症の予防や会場選びで選択肢の増加が見込まれている。
合格するためには、受講生の努力と特別講習講師の情熱あふれる取り組み、加えて所属企業による「送り出し教育」も大切だ。上司や先輩から学科と実技の指導を受けて知識を再確認した受講生は、自信を持って講習に臨むことができるだろう。
送り出し教育については、企業間の“温度差”が以前から指摘されている。人手不足が厳しい中にあっても勤務シフトを調整して勉強時間の確保に配慮するとともに、上司・先輩が学科や実技など手厚い指導を行う会社がある。一方で、何の指導も受けず送り出され、基本動作さえ心もとないような受講生もいるという。本来は体調を整えて講習を受けるはずが、夜勤明けで睡眠時間もとれず疲労した体で講習会場にたどり着いた…。そのようなことが決して起こらないように企業は受講生に配慮してほしい。
ある警備会社で教育を担当する特別講習講師OBは、送り出し教育の意義について次のように語った。「力を注ぐのは受講生のためだけではありません。社内の意識が高まり警備員それぞれの向上心が引き出されて『自分も資格にトライしたい』と目標を持つなど、全体の底上げにつながるのです」。
優秀な人材をより多く育成して、顧客満足度を高めていく。それは企業が適切な価格転嫁を推進するためにも不可欠な要素となる。多くの企業が受講生をバックアップする取り組みを強化することは、警備業界の一層の躍進につながるに違いない。
【都築孝史】


